最後に笑うのはTumblr

ツイッターが崩壊し、タンブラーがインターネットマニアを受け入れる

By Kaitlyn Tiffany (記事翻訳 by ちよろず)
NOVEMBER 18, 2022, 7 AM

作家スティーブン・キングとツイートで口論した後、ツイッターの新オーナー、イーロン・マスク氏は、ユーザーアカウントにひと月8ドルで青い認証マークを付与すると決定した。認証マークは従来無料でユーザーに提供され、アカウントの信頼性を示すものだった。青い認証マークがついていることで、「これは本物のニューヨークタイムス、これは本物のバイデン大統領のアカウント」と判断できる。認証マークは一種のステータスシンボルとして知られ、青マークがついているアカウントはそれだけで目立つ。だが、どのようなプロセスでマークが付与されるのかは不透明で不可解なものだった。今迄は「なりすまし」アカウントとの差別化や、アカウントに権限を付ける用途だと思われてきた。

マスク氏は認証マークをより平等主義的なものに改変した。青マークが付いていると、8ドルを支払ったユーザーアカウントという意味しかないにもかかわらず、認証マークを付ける事でその栄光にあやかる仕組み。これは想像以上のカオスを引き起こすことになった。認証マークを付けたジョージ・ブッシュのなりすましアカウントが「イラク人を殺し損ねた」と顔文字付きでツイートし、製薬会社Eli Lillyのなりすましアカウントが「インシュリンを無償提供致します」とツイート(一連のトラブルツイート発生後、現在は感謝祭が終わるまで青マークの認証プログラムは停止されている)

マスク氏の運営方法にうんざりしたユーザーは、悪ふざけが得意なTumblrに戻ろうと言い始めた。

オタク・マニア向けのマイクロブログサービスとして知られているTumblrは長い間終わったコンテンツ扱いされてきたが、ツイッターの混乱のお陰で一気に注目されることになった。先週、Tumblrは$7.99でユーザーに「重要な青いインターネット認証マーク2個」を売り出した。広告キャッチフレーズは「どうして? どうしてつけないの?」(認証マークの購入ページでは「マークは不忠・嫉妬・誹謗・二枚舌嫌いなユーザー(crabs)が付けるもの」として広まるだろうとネタまで披露)こんな風にTumblr社では最初から認証マークを冗談にしてしまっているが、ユーザーが一度に2つの認証マークを購入できるサービスが好評を博し、10個購入するユーザーもいる。こういった流れはまさにTumblrならでは。認証マークは瞬く間にユーザにとってファンアートになり、「重要な青マークは愉快で楽しい」というキャッチフレーズや、驚いたことに「認証マークピン」をグッズ展開して公式サイトが販売までしている。

Tumblrのオーナーであるオートマチック社のCEOマット・マレンウェッグ氏は、認証マークについて質問を受けた際、「我々は常にビジネスを越えた革新的なものを求めているからです」と答えた。そして、「わたしはジョークがうまくなくて」と謝りながらも、「実際、24個まで認証マークは購入可能です」と続けた。「でも、お約束はできなくて。うちはテクノロジー系企業だから、認証マークを維持するのはとても難しいことなんですよ」と更にジョークを続けた。不忠・嫉妬・誹謗・二枚舌を毛嫌いするユーザー(crabs )へ配慮をしていて、「認証マークは将来的に何か別のものに変化していく可能性もあります」とマレンウェッグ氏は予告している。明確な数字を教えてくれなかったが、数十万個の青マークがTumblrには存在しているらしい。

マレンウェッグ氏によると、イーロン・マスクのツイッター買収の翌週からTumblrアプリのダウンロード数が62%上昇した(全体的に見ても、Tumblrはツイッターに比べて規模はうんと小さいことにご留意いただきたい)モバイルアプリはシックな新ロゴマーク付き、ディスカバリー機能は利便性に優れている。そして、今月初旬、マレンウェッグ氏はサイトのヌード規制を解除し、元に戻す方向を検討中だと発表した。(ポルノ画像についての規制は継続する)、4年間のヌード規制を解くことで、過去に失ったユーザーの信頼を再び得られるようになるのではと筆者は考える。女性の乳首が表示されるものは、例えばホロコーストの被害者の遺体画像に乳首が映っているというだけでアウトという具合に、なんでも自動的に削除されるようなことが過去には起きていたから。

Tumblrのツイッターアカウントを運営している人が誰であるかは不明だが、マスク氏支配からユーザーを開放しTumblrに戻ってくるようにと呼びかけている。そして、Tumblrユーザーに快くツイッターユーザーを迎えてあげるようにと促している。「私たちがもう少しノーマルに振る舞うために沢山ユーザーが必要だから」と。(マレンウェッグ氏は公式ツイッターアカウントの担当者については言及しなかったが、氏によると社内Slack(チャットアプリ)はライタールームのようになっているらしい)

さて、この一連の流れは、競合するソーシャルメディサービスによる便乗商法であることは明らかである。他人の不幸に乗っかって商売をするように、読者によってはそれを露骨に感じる人がいるかもしれない。しかし、Tumblrユーザーとスタッフは暗い闇の中にも予期しないビジネスチャンスが生まれることについて十分に心得ている。(Tumblrは2013年にYahooに買収された。Yahooはその後Verizon社に買収され、YahooとAOLは合併しOathになった、それからTumblrはAutomattic社に格安で売却されたわけだが、そのころはサイト自体がPornhubに売られるという噂がたっていた)こういった経緯からユーザーもスタッフも突然の変化や機能改変、無期限のサービス停止やいつサービス自体が完全に廃止になるか判らないということをよく理解している。他社の雲行きが悪くなったとしても、その事実を楽しむというTumblrの現状を批判することはできないだろう。

Tumblr内の変化について、頑固に抵抗する人々は一般ユーザー向けの受け皿となることをよく思わないだろう。「オースティンを変な奴にしよう」キャンペーンのように。(勿論、ツイッターの一般ユーザーは、性差別主義者や階級差別主義達について誠実に議論する人々が集まるようなウェブサイトから来る場合もあり、実際のところ一般ユーザーもノーマルとはいいがたい)それでも、Tumblrユーザーの一部はツイッターからの移行者を受け入れたいと表明している。「誰でも、サービスの使い始めは新規参入者なのだから」と二十歳のTumblrユーザー、ナット・クウはEメールで回答した。「もしツイッターからTumblrに移行するなら、それが有名人でもそうでない人でも、とてもいいことだと思います。誰が気にするのでしょう? プラットフォームを選ぶのはユーザー本人の自由です。僕達はみんな公平に鼻もちならないと思っているのだから、それはお互い様です」

今日現在、Tumblrは騒々しいSNSからの退避先として、その地位を得ている。騒々しいSNSで活動していた人や、パンデミックが起きたタイミングで久しぶりに使い始めた人々も、Tumblrをどこか奇妙で見過ごされた場所のように感じ、そこを気に入っている。

1年前、Twitterと比較して、Tumblrは地球上から淘汰されるサービスだと多くの人が認識していた、でもそれはインターネット上の特性そのものだと思う。どのプラットフォームも、ユーザーが創造性や興味を何年も注ぎ続けたとしても、コミュニティ、ニュース、流れてくる刺激となる情報や、非難する事柄に依存することになる。それは、まさに資本が流れ、それを手にする人の気紛れのように安定しない。いま、ツイッターは終焉を迎えているように感じるが、敢えてここでハッキリと言っておきたい。みんなヒステリックに騒ぎ過ぎ。確かに少しエキサイティングな部分はあるかもしれないけれど。事態は美しくもあり痛々しくもある。いまこの瞬間、Tumblrユーザーはこういうかもしれない。「お前ら、あの頃のTumblrユーザーがどんな気持ちだったかがわかるだろう」

「今から100年後にTwitterとTumblrが残っていたらいいなと思います」とマレンウェッグ氏は語る。「TwitterもTumblrもインターネットの重要な部分を担っています。未来のジェネレーションの為にしっかりとした管理が必要になるでしょう」マレンウェッグ氏はSNSサービスを運営することがいかに大変なことかをハードな局面を通して学んだという。巨大なインターネットサービスやテクノロジー企業を経営するより、もっとハードだったと語る。そして、マレンウェッグ氏はそれに挑戦する人々を応援したいと語った。インタビューで聞き出そうとしたが、マレンウェッグ氏は「イーロンの悪口を私は云った事がないし、これからも言うつもりはない」と応えた。ツイッターがこれから更に混乱することについて、どう対応しようか検討中なら、是非伝えたい。

Tumblrのスタッフはここ数週間、ユーザー需要に対応するために夜中もフル回転で働いている。

ケイトリン・ティファニーはAtlantic誌のスタッフライター、「Everything I Need I Get From You: How Fangirls Created the Internet as We Know It」の著者。

(元記事:Tumblr Gets the Last Laugh The Atlanticの Technology記事)

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