【ネタバレ注意】この記事は映画のネタバレになるので畳みます。
「さあ、もう放してくれよ」
何でもないひと言なのに、力強いフレーズ。初めて映画を見た時は、全く気にならなかった台詞。でも、今はわかる。ニールが悲しそうな表情でこのフレーズを言う瞬間、この映画全てが感情に訴えかけてくる。ニールはこの後の未来で死に、決してProtagonist(主人公)の元に戻ることはない。それが不可能だということをニールは知っている。ニールの去り際にThe Protagonist(主人公)がニールに問いかける。
でも、俺達がやり方を変えたら、未来は変るだろう?
(そう望めば、完全相互作用になる!)
「ニール、待て」
「世界を救ったばかりだ。これ以外の可能性を残すことはできないさ」
「でも、俺等が別のやり方でやれば、変るだろ?」
「起きたことは起きたこと。これがこの世界の力学上の摂理。だからって何もしない事の言い訳にはならないさ」
「宿命ってことか?」
「そう呼びたければ」
「お前は何て呼ぶんだ」
「現実さ。さあ、もう放してくれよ」
これを尋ねる前に、The Protagonist(主人公)は映画の冒頭で敵の銃から銃弾を引き戻して自分を救ったのはニールだったことに気付いた。The Protagonist(主人公)が先に問い掛けた事でニールは彼を救うために、銃弾を引き戻した。ニールはThe Protagonistが生き残る為にやり方を変えるように準備していたことがわかる。でもニールが言うように、「起きたことは起きたこと」、ニールは自分が銃弾を受けたイベントを変えることは出来ないことを知っている、それが終わりという事も。
そして、再びそれは起きる。The Protagonist(主人公)は、今回ニールに出逢い、同じイベントが起き、全てはニールが戻っていく結末に向かって進む。これが悲しい。何が起きようと、ニールは必ず未来へ戻り、あの銃弾を受けることになる。そして、サイクルがまた始まる。彼らが現実をどう変えようと、ニールは決してミッションから生還できない。
(オリジナルテキスト:Now Let me go [agmcux.tumblr.com]、翻訳 by ちよろず)
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